なぜ虫歯ができるか 脱灰と再石灰化
2019年11月20日
いまえだ歯科の本多です。
3週間に1回のペースで、歯科疾患の基礎知識を解説していきます。
1回目は虫歯(う蝕)の発生についてです。
虫歯(う蝕)とは
歯の表面にいる虫歯菌が作る酸によって、歯が溶けてしまうことを言います。
虫歯菌は常在菌で、たいていの人の口の中にいます。
口の中の菌たちは、集まって歯面に付着できる、バイオフィルム(プラーク、歯垢)という形になっています。
プラーク中の虫歯菌は食べ物の糖を利用して酸を作ります。
この酸によって、歯からカルシウムなどが溶け出してしまいます。
これを「脱灰」といいます。
健康な状態ならば、唾液(つば)の働きによって、カルシウムなどが再び歯の表面に沈着して、元に戻ります。
これを「再石灰化」といいます。
健康な状態では脱灰と再石灰化の力は拮抗しています。
つまり、虫歯ができるときにだけ歯が溶けているわけではなく、実際には何かを食べるたびに、溶けて元に戻ってを繰り返しているということです。
バランスが崩れ、脱灰が強くなったり、再石灰化が弱くなったりすると、脱灰が進行して歯に穴があいてしまいます。
これがよくイメージされる虫歯です。
しかし本当は、歯に穴が開く前から、脱灰と再石灰化のバランスが崩れて、虫歯は始まっているのです。